更年期障害の症状とは
更年期障害の症状は個人に大きく依存します。これは、発症する症状が異なるだけでなく、 発症期間、起こる頻度、部位など同じ更年期障害でも個人により異なります。
ここでは、ご自身が更年期障害なのか判断できるよう、 更年期障害の症状、およびその特徴について、紹介しています。
さらに詳しい更年期障害のチェック方法については、更年期障害チェック方法をご参照下さい。
更年期障害の症状の特徴
更年期障害の症状の特徴
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症状は個人に依存
更年期障害の症状は個人によって大きく異なります。これは、発症する症状が違うだけでなく、 同じ症状でも人によって程度が異なるを意味します。
ほてりを例に上げると、 同じほてりであっても、全く発症しない人もいれば、 発症しても数ヶ月で終わる人、更年期が終わっても60代や70代まで数十年続く人もいます。
その他、同じほてりであっても、ほてりの部位、1日のほてりの回数、1回の持続回数、発症する時刻、ほてりを発症するきっかけなど、人によって異なります。
更年期障害の症状は数ヶ月から数年続く
更年期障害の症状は数ヶ月~数年続きます。これは無症状の人や数ヶ月で終わる人がいる一方、ひどい人の場合、数十年続くこともあります。
調査機関や国によって異なるものの、 閉経の前後1~2年(閉経周辺期)が更年期障害を発症することが最も多く、 それを考慮すると、更年期障害の発症期間で最も多いのは3年程度(閉経前1~2年、閉経、閉経後1~2年)と言えそうです。
また、全体で見ると、 長い人の場合、30代半ばから更年期障害の症状が現れはじめ、それが60代になっても続く場合があります。
更年期障害の症状は再来する
更年期障害の症状は「終わった」と思っても、同じ症状が再発することがあります。また、更年期には症状が出なかった人でも、60代以降に初めて更年期障害の症状が出る人もいます。
更年期障害の症状一覧
更年期障害の症状
■月経
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■頭痛、肩こり
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月経
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更年期障害の最大の特徴が「月経の周期の乱れ」です。
更年期を通じて、月経周期の乱れが出ない女性は、ほとんどいないかもしれません。
特に閉経1~2年前から周期の乱れが顕著になり始めます。
この周期の乱れは、周期が長くなる場合だけでなく、周期が短く1ヶ月に複数回ある場合もあります。 ただし、周期が乱れていても完全に閉経するまでは、 無排卵月経の割合が多くなるものの、 排卵がある=妊娠の可能性があるため、妊娠を望まない場合は注意が必要です。
膣・尿路症状
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エストロゲンの働きの1つに、膣の潤滑作用があります。
そのため、エストロゲンの分泌が低下すると、膣が乾燥し、かゆみや性交時の痛み(性交疼痛)が起こることがあります。
また、膣の乾燥は膣壁を薄くし、膣の弾性を低下させます。
その結果、頻繁な排尿、尿漏れ、尿路感染症のリスクの増加につながります。
特に症状がひどい人の場合、 重いものを持ち上げた時や、セキをした時、笑った時など、 少しの負担でも尿漏れにつながることがあるため、注意が必要です。
更年期の尿路症状については、 萎縮性膣炎は更年期が原因をご参照下さい。
ほてり
■ほてり
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■具体例
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ほてりは医学用語では、「血管運動神経症状(障害)」と呼ばれ、 更年期障害では最も良く見られる症状です。
「ほてり」のほか、 「動悸」、「のぼせ」、「紅潮」、「発汗」、「寝汗」なども含まれます。
人種別に見ると、黒人がもっとも発症率が高く、次いで白人、 アジア人はほてりの発症率が最も低いことも特徴です。
ほてりに関する原因や治療については、 ほてり・ホットフラッシュの原因と治療法をご参照下さい。
睡眠障害
■睡眠障害
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更年期障害の睡眠障害には「過眠症」と「不眠症」の両方が含まれます。
更年期の睡眠障害の原因は、エストロゲンの低下以外に、ほてりによる異常発汗や寝汗、 頻尿による夜尿症、後述する更年期型うつ病、疲労なども間接的な原因となります。
ほてりや発汗、夜尿症は睡眠時の中途覚醒(睡眠中に目が覚めること)を引き起こし、 その後の入眠を困難にし、熟睡感を妨げます。
更年期型うつ病による睡眠障害は、うつ病がそうであるように、 不眠と過眠の両方を引き起こします。
また、疲労や体のだるさといった症状は過眠以外に、 目が覚めているにも関わらず、起きれないといった症状を引き起こします。
言い換えると、上記以外が原因の睡眠障害の場合、 他の睡眠障害を伴う疾患や、睡眠の質を改善すべく生活習慣の見直しが必要かもしれません。
睡眠障害、不眠症については、 不眠症解消方法一覧をご参照下さい。
気分・うつ
■気分・うつ
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■具体例
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更年期障害の症状のうち、個人だけでなく他人を最も悩ませる症状が「気分のむら」、「神経過敏」、「イライラ」、「怒りっぽい」「うつ」など精神面での変化です。
特に、更年期の前に、うつ病の発症歴がある人は再発の可能性が高く、要注意です。 反対に、うつ病の発症歴がない人でも、発症する可能性はあります。
更年期のうつ病の原因と治療については、 更年期うつ・イライラ原因と解消法をご参照下さい。
頭痛、肩こり
■頭痛、肩こり
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■具体例
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更年期障害と頭痛の関係は非常に複雑です。
理由は、エストロゲンの低下で頭痛が重くなる人がいる一方、 頭痛が軽くなる人もおり、正反対の影響が出るからです。
アメリカのいくつかの研究をまとめた資料によると、 更年期に、頭痛(偏頭痛)が悪化した割合は45%で、 反対に、更年期に頭痛(偏頭痛)が改善した割合は15%、 その他40%は違いが無かったとしています。
つまり、もともと頭痛を患っていた人の場合、エストロゲンの低下は、頭痛(偏頭痛)に良い影響を与える場合と、 影響がない場合、悪い影響を与える場合があることを意味しています。
一方、更年期に頭痛(偏頭痛)を発症する患者は多くなります。
シンシナティ大学の教授が、3,600人の女性について、更年期と頭痛の関係を調査した結果、 「閉経期に偏頭痛の患者はおおよそ50~60%増加する」、と言っています。
更年期の頭痛がエストロゲンの低下による場合、 ホルモン補充療法などが効果があるとされています。
性欲の変更
更年期障害として性欲の減少は一般的な症状です。これは、膣の乾燥による感度の低下以外に、 卵巣が作り出すテストステロンとプロゲステロンの低下が原因と考えられています。
特にテストステロンは、女性において性行為の増加をもたらす因子と考えられており、 卵巣の機能低下によるテストステロンの低下が、性欲そのものを減少させてしまいます。
その他、性欲減少の要因として、 不安な気持ちやイライラなど、心理面でも影響も大きいと考えられています。
一方、人によっては、閉経によって妊娠の可能性が無くなったことにより、 より性に開放的になる人もいます。
記憶障害、物忘れ
更年期障害の症状として、「記憶力の低下」、「物忘れ」といった症状が出る場合があります。これは、エストロゲンの低下により、血管が収縮し、脳への血流が悪化するからです。
独立行政法人理化学研究所の研究によると、 「エストロゲンが脳血管を拡張し、 脳循環を回復することで、 記憶を改善する機能を発揮する」というメカニズムを解明しました。
これは、言い換えると、エストロゲンの低下によって脳血管が収縮し、 記憶が低下することを意味しています。
そのため、血流を良くする習慣(運動、食事など)を取り入れることで、 更年期あるいは更年期以降の記憶力の低下や物忘れの発症を抑えることができます。
更年期の物忘れについては、 更年期の物忘れをご参照下さい。
疲労
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更年期障害における疲労の原因は、エストロゲンやプロゲステロンの低下と他の更年期障害の症状によるものです。
エストロゲンやプロゲステロンの血管拡張作用は血流に影響します。 体のだるさの原因の1つは、血流の悪化のため、 エストロゲンやプロゲステロンの分泌量が低下すると、 体のだるさややる気の喪失につながります。
疲労については、 疲労の原因と回復方法をご参照下さい。
その他
多くの女性は更年期、特に閉経後に体重が増加します。これは、エストロゲンの減少と他の更年期障害の症状による影響です。
エストロゲンが低下すると、食欲が増加することが、 いくつかの動物実験などから明らかにされており、 また、エストロゲンやテストステロンが低下すると、代謝が低下します。
その他に、更年期障害の症状でうつ病や疲労、体がだるいといった症状を訴える場合、 生活におけるエネルギーの利用そのものが減少してしまいます。
更年期の肥満、代謝低下については、 中年太りは更年期が原因をご参照下さい。
その他、エストロゲンの低下により、胸の膨満感の喪失、肌の乾燥、抜け毛、 手足の冷え、しびれなども更年期障害の症状として現れることがあります。
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