更年期障害とめまいとは
更年期障害の発症時期である45~55歳ごろに、 めまいが現れることがあります。めまいそのものは、更年期以外でも症状が現れるものの、 有症率は年齢とともに増加し、 かつ、女性では、男性より3倍多く発症します。
そのため、更年期障害の症状あるいは更年期が原因で、 めまいが発症したと考えることが多いものの、 めまいそのものは更年期障害と関連付けられていません。
しかし、更年期障害のいくつかの症状は、めまいの原因になる可能性があります。
ここでは、更年期に発症するめまいについて、 症状、原因、治療法について、紹介しています。
更年期障害の他の症状については、 更年期障害の症状と特徴をご参照下さい。
更年期障害とめまいの症状
めまいは更年期によらず、3つに分類されます。めまいの種類
|
これらめまいの症状は、原因が非常に様々なため、 目や感覚だけでなく、耳、脳、心、その他にも現れます。
めまいの症状
■目・感覚の症状
|
|
■聴覚の症状
|
めまいは更年期障害が原因?
40~59歳の更年期の女性413人を対象にめまいについて調査したところ、 73人(17.7%)にめまいの症状がありました。そのため、更年期にめまいを発症することはそれほど珍しいことではありません。
めまいが発症しやすい年齢が更年期と重なるため、 更年期障害がめまいの原因と考えられることも珍しくないものの、 めまいの原因は一般的には閉経や更年期とは関連付けられていません。
しかし、更年期障害のいくつかの症状は、めまいの原因になる可能性があります。
|
血流の悪化
更年期におけるエストロゲンの減少は、血流を悪化させます。 理由は、エストロゲンには、血管拡張作用があり、血流を良くする働きがあるためです。一方めまいの原因の1つに、脳への血流量の減少があります。 つまり、更年期における血流の減少が、めまいの原因となります。
更年期障害の他の症状
更年期障害の症状に、偏頭痛やストレスがありますが、 偏頭痛、ストレス、うつ病などは、めまいの原因とされています。めまいの原因
めまいの原因は、「バランスを司る内耳」、 「実際にどこにいるかを確認する目」、 「地面に触れる足とどこが動いているかの筋肉」、 そして、「それらを司る中枢神経」のいずれかの矛盾によって、症状が現れます。良性発作性頭痛めまい症(BPPV)
めまいの最も一般的な原因が良性発作性頭痛めまい症です。良性発作性頭痛めまい症の特徴は、 15秒~数分続く短いめまいで、 起立したりしゃがんだり、ベッドでの寝返りなど、頭部の急激な動きを発端とすることが多く、 稀に眼球運動(眼振)でもめまいがすることもあります。
発病率はおおよそ人口の2%~3%程度で、 女性は男性よりも約2倍の発病率を有し、特に年配の女性の発症リスクが高くなっています。
良性発作性頭位めまい症は、 カルシウム粒子(耳石)が内耳の特定位置から、 後半規管に移動してしまったために起こります。
この耳石のズレはほとんどが原因が不明なものの、 まれに、頭部外傷や内耳炎、耳の手術などが原因となります。 主な症状はめまいのほか、 立ちくらみや不安定さ、平衡感覚障害、目のかすみ、吐き気、嘔吐などです。
原因は耳石のズレのため、この位置を治すことで(エプリー法など)治療することができます。
偏頭痛(前庭性偏頭痛)
前庭性偏頭痛はめまいの原因となります。前庭性偏頭痛は、めまいの症状と偏頭痛の症状を併発する病気です。
この前庭性偏頭痛はそれほど珍しい病気ではなく、 有病率はおおよそ1%と比較的患者数の多い病気です。
聴神経腫瘍
めまいを起こす珍しい原因の1つが聴神経腫瘍です。聴神経腫瘍は良性の脳腫瘍で、 脳の腫瘍が聴神経を圧迫するため、めまいのほか、片方の耳が聞こえにくくなったり、 顔面の神経麻痺などを引き起こします。
内耳炎(前庭神経炎)
内耳には体のバランスを司る前庭(主に重力と直線加速運動を感じる器官)と、 三半規管(主に回転運動を感じる器官)、聴覚に関わる蝸牛が存在します。そのため、内耳に病気が発生すると、 これらの器官が損傷を受けるため、めまいと同時に難聴や耳鳴り、 その他吐き気や歩行困難などを発症します。
内耳の炎症の最も一般的な原因はウィルスや細菌による感染で、 特に内耳の前庭神経部分の炎症を前庭神経炎といいます。
内耳の炎症のため、ウィルスや細菌を殺す薬によって治癒することができます。
メニエール病
メニエール病は、耳鳴り、難聴、めまいの3点セットを特徴とする症状で、 吐き気、または嘔吐を伴うこともあります。非常に重度のめまいや耳鳴りが突然発症します。
内耳内の流体体積変化がメニエール病の原因ですが、その根本原因は不明です。
内耳炎同様、内耳の細菌およびウイルス感染が原因である場合もあります。
40歳から60歳での発症が多く、更年期とも重なります。
治療法は塩分の制限や尿量を増加させる薬剤、抗生物質の他、外科治療も行われます。
その他耳の病気
外リンパ瘻、真珠腫性中耳炎、耳性帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)、耳硬化症、過換気症候群、パーキンソン病、延髄外側症候群、頸椎の関節炎などもめまいの原因となります。脳血流の減少
めまいは脳の血流減少によって引き起こされます。また脳の血流減少は、めまい以外に、ふらつきや頭痛や歩行困難も引き起こします。
脳血流の減少を引き起こす病気には、
- 脳腫瘍
- 脳卒中
- 動脈硬化
- 高血圧
- 糖尿病
- 低血糖症
- 貧血、低血圧
- 高コレステロール症
- 首や肩のこり
- 頭部や首の怪我
- タバコ
- カフェイン
- 過剰な塩分摂取
- 水分不足
- ストレス・うつ病
薬
血圧の薬や抗発作薬、抗うつ薬、アスピリンなど、 一部の薬はめまいの原因となります。その他
多発性硬化症、食品アレルギー、梅毒などが原因で、 めまいを引き起こすことがあります。めまいの外来
特に、以下のような症状が出ている場合、すぐに病院に行く必要があります。- 頭部外傷が原因と思われるめまい
- 痙攣や嘔吐の症状を伴うめまい
- 胸の痛み、動悸、息切れを伴うめまい
- 激しい頭痛を伴うめまい
- 失神や意識喪失を伴うめまい
- 物が二重に見える
- 高熱
- 歩行困難
めまいの予防
病院で治療を終えるまで、 めまいの予防で気をつけるべきことは、以下のとおりです。- 頭部の急激な位置の変化を避ける(立つ、しゃがむ、頭を振るなど)
- 脳血流を減少させるタバコ、カフェイン、過剰な塩分を避ける
- 水分を十分に取る
更年期障害とめまい 先頭へ |
関連ページ |
メニュー・目次一覧へ |