更年期外来を受診すべき時とは
更年期そのものは、全ての女性にやってきます。では、全ての女性が更年期外来へ行くべきか、と言うと、そういう訳ではありません。
更年期の症状は個人に大きく依存するため、全く症状が出ない人もいれば、 様々な症状が出る人もいます。
更年期の症状のうち、 特に「ダメージや問題が生じている状態」を更年期障害と言います。
言い換えると、更年期の症状が出ている人のうち、 痛みがあったり、生活に支障をきたしている、きたす恐れがある人だけが、 すぐにでも更年期外来を訪れるべき人で、 特に治療を必要とする更年期障害の症状が出る人は、全体の10~20%程度とされています。
更年期外来を受診すべき人
更年期障害の症状が出ている人のうち、 以下に当てはまる人はすぐにでも更年期外来を受診すべきです。
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仕事や生活に支障をきたす場合
「更年期障害によるほてりや寝汗で寝れない」、「動悸や多汗で周りの目が気になり仕事に集中できない」、 「疲労感や体のだるさで朝起きるだけでも一苦労」など、仕事や生活に支障が出ている場合、 すぐにでも医師の診察を受けるべきです。更年期の症状は個人差があると言いますが、 それは単に発症する症状に違いが出るだけでなく、 継続年数やその後の症状の悪化(緩和)も人によって異なります。
ひどい人の場合、年を重ねるにつれて病状が悪化していくことも珍しくありません。
そのため、その後何年間も更年期障害の症状で悩むよりも、 すぐにでも対処した方が長い目で見ると良いと言えます。
40歳以下の場合
40歳以下で更年期障害の症状が出た場合、 更年期障害である可能性と同時に、甲状腺疾患や悪性貧血、副腎疲労など他の病気である可能性が否めません。また、喫煙やアルコールなどの生活習慣が更年期を早めている可能性があり、 医師からのアドバイスが、それら習慣の改善のきっかけになることもあります。
一般的な更年期の年齢については、更年期障害を発症する年齢を、 若年性更年期障害については、若年性更年期障害をご参照下さい。
更年期障害でなく他の病気の場合、放置することによって改善することは稀で、 また、更年期障害とは治療方法も当然異なります。 そのため、まずは原因、病名を明確にするためにも婦人科や更年期外来の受診が望まれます。
一方、病院での受信結果が若年性更年期障害であり、 若年性更年期障害の原因が投薬などによる早期閉経の場合、更年期障害の症状よりも将来にわたってひどくなる場合が多いため、 どちらにしても早急な対応が必要となります。
卵巣に影響のある手術を受けた場合
子宮がん、卵巣がんなど卵巣を除去する手術や、放射線治療、抗がん剤などは、直ちに閉経の原因となります。少しずつ卵巣が小さくなり、女性ホルモンが減少する更年期、自然閉経とは異なり、 これら外科的閉経や化学療法による閉経は、 更年期障害の症状が長く続き、重くなる割合が多くなっています。
そのため、医師と歩調を合わせた長期治療計画を立てることが、 その後の症状緩和、他の病気の発病を抑えることとなるため、 病院へ行き、医師との十分な話し合いが必要です。
薬の効果がない、副作用が出た場合
更年期障害に効果のある薬、漢方であっても、効果がない場合や、 ひどい場合には、さらにひどくなる場合があります。これは、ホルモンバランスなどの他、個人の体調や体質、病歴などにも依存します。
また、薬によってはもともと副作用が出ることを前提としている薬もあります。
更年期障害の症状がひどくなった場合や、副作用が出た場合には、 すぐに服用を中止することはもとより、 すぐに医師の診断が必要です。
本人の自覚がなく、周りから見て明らかにおかしい場合
更年期障害のうち、イライラやうつ病、物忘れなどいくつかの症状では、 本人にその自覚がない場合があります。過去のその人物を知っていた第三者から見ると、 他人になってしまったのでは、と見間違うほど、性格や生活が異なっている場合があります。
更年期障害だからと放置してしまうと、 同居する家族や周りの人が振り回され、 ひどい場合にはそれをきっかけに家庭の崩壊や離婚、第三者の生活に多大な影響を与えてしまいます。
本人は自覚症状がないため病院へ行くことには否定的になりがちなものの、 すぐにでも病院へ行き、まずは病気であることを認める必要があります。
いつまで続くのか分からない不安は、不安をより増大させてしまいますが、 治療によって解決するという希望は治療に当たる周りの人の不安を取り払ってくれます。
うつ症状がひどい場合
更年期うつ病は、その人の精神を非常に不安定にする場合が多々あります。一日中泣き続けたり、意味のない不安感、恐怖感に襲われたり、 自分の価値がないと感じ、自己否定を続けるなど、生活が一変してしまいます。
うつ病の多くは、ストレスの元となるストレッサーから遠ざけることで改善することが多いものの、 更年期うつ病はストレスの元となるストレッサーが存在しないあるいは明確でない場合が多いため、 心療内科などで診てもらい、 認知行動療法やグループ療法、運動療法、薬物療法、問題解決技法など個人の症状や体質に合わせて、 治療計画を立て改善していく必要があります。
痛みがある場合
胸の痛み、偏頭痛など、部位に関わらず痛みがある場合にはすぐにでも更年期外来を受診すべきです。更年期障害の偏頭痛は原因や正確な関係が不明で、 更年期以外が原因である場合も少なくありません。
また、胸の痛みも同様です。
そのため、更年期かどうかを明確にする意味でも、 「痛み」がある場合は、すぐに診察が必要です。
閉経後の出血がある場合
閉経後の出血は原因不明であることが多いものの、最悪の場合はガンの可能性もあります。閉経後1年以上してから、月経があることも稀にあるものの、閉経後の出血に不安がある場合は、 すぐにでも更年期外来や婦人科を受診すべきです。
閉経後の出血で想定される病気は以下の通りです。
- 萎縮性膣炎
- ポリープ
- 子宮内膜萎縮症
- 子宮内膜増殖症
- 子宮ガン
- ホルモン補充療法の副作用
- 感染症
ホルモン測定は受けた方が良い?
更年期障害かどうかを確認するために、ホルモン測定や血液検査を受けるかどうか、 検討するかもしれません。しかし、ホルモン測定や血液検査で、正確に更年期障害かどうかを判断できるわけではありません。
閉経前、特に更年期障害の症状が出始めの頃は、 エストラジオール(E2)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の値が正常値を示すことも珍しくなく、 閉経中(月経頻度が極端に少なくなってきた時)や閉経後になってはじめて更年期の結果が出ます。
反対に、エストラジオール(E2)と卵胞刺激ホルモン(FSH)の値が正常だからと言って、 更年期障害でない、と言うわけでもありません。
これら数値はあくまで目安であり、 更年期障害の症状が出ている場合の1つの目安でしかありません。
ただし、40歳以下の若年性更年期障害の場合、 他の病気と区別するためにも、エストラジオール(E2)と卵胞刺激ホルモン(FSH)を始め、 黄体刺激ホルモン(LH)、プロラクチン(PRL)、甲状腺ホルモンなど、 総合的な血液検査、ホルモン測定をした方が良い場合もあります。
更年期障害はどの医者にいけばいいの?
更年期障害の症状に合わせて、 婦人科、更年期外来、心療内科で診察してもらえます。多くの病院が婦人科と更年期外来を併設しているため、まずはそのような病院に行き、 総合的な診断をしてもらうことが良いでしょう。
うつや神経過敏、統合性失調症、不安障害、自律神経失調症などの症状が出ている場合には、 心療内科が良いでしょう。
最近では、婦人科で心療内科を併設したり、 心療内科が更年期障害の各種症状を取り扱ったり、 総合的に診察してもらえる病院が増えています。
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