大豆イソフラボンの副作用

大豆イソフラボンの副作用

大豆イソフラボンの副作用
大豆イソフラボンの副作用は、過剰摂取、大量摂取時以外に、 胎児に影響が出る妊婦や、 大豆イソフラボン配糖体を分解する能力が弱い乳幼児(15歳未満)において出る可能性があります。

また、大豆イソフラボンは植物性エストロゲンであることから、 エストロゲン様作用(体内でエストロゲンの様に働く)と、 抗エストロゲン作用(エストロゲンを阻害する)の双方を持ち合わせているため、 その効果と副作用については、未だ明確になっていない部分もあります。

ここでは主に大豆イソフラボンの副作用について、紹介しています。
大豆イソフラボンを多く含む食品については、 大豆イソフラボンを多く含む食べ物を、 大豆イソフラボンの一日摂取量上限については、 大豆イソフラボンの一日摂取量上限をご参照下さい。

大豆イソフラボンの副作用

大豆イソフラボンも過剰摂取によって、 DNAへの影響、血中ホルモン濃度、月経周期の変化などの副作用が認められています。

  • DNAの構造を正常に保つトポイソメラーゼⅡを阻害
  • 血中ホルモン濃度(E2)の変化
  • 月経周期の変化

DNAの構造を正常に保つトポイソメラーゼⅡを阻害

大豆イソフラボンによって、DNAの構造を正常に保つ「トポイソメラーゼⅡ」が阻害される可能性があります。
この「トポイソメラーゼⅡ」の阻害は、 抗がん剤のVP16やドキソルビシン(トポイソメラーゼⅡ阻害剤)によっても誘発され、 これらの薬剤による治療後に、急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病が発症することがあるため、 大豆イソフラボンの大量過剰摂取により、同様の副作用がある可能性があります。

また、 乳児における急性骨髄性白血病の65%、急性リンパ性白血病の85%に、 MLL遺伝子の異常が関与しているとされており、 特に妊娠中の大豆イソフラボン大量摂取は避けた方が懸命です。

血中ホルモン濃度(E2)の変化

大豆イソフラボンの副作用 血中ホルモン濃度(E2)の変化
閉経前女性において、大豆イソフラボンの過剰摂取により、 血中エストラジオール(E2)が低下する、と考えられています。

これは、厚生労働省が参考としている血中エストラジオール(E2)の変化を測定した5つの研究を総合すると、 5試験中1試験において、E2の濃度が40.1%増加したものの、 その他の試験では、概ね減少しています(-13.3%、-9.5%、-33.3%、-81.0%)。

エストロゲンの不足を補うため、大豆イソフラボンを摂取する若い女性が多いものの、 大豆イソフラボンの摂取により、ご自身が作り出すエストロゲンを低下させてしまうため、 エストロゲンの分泌に影響が出始める35歳~40歳くらいまでは、 何かを目的(例:バストアップなど)として、積極的にイソフラボンを摂取することは避けたほうが良いようです。

ただし、お豆腐やお味噌汁はイソフラボン以外にも栄養価に優れた食品であるため、 厚生労働省でも、「わざわざ避ける必要はない」とも明言しています。

月経周期の変化

大豆イソフラボンのもう一つの副作用が月経周期の変化です。
上記エストラジオール(E2)の濃度の変化が影響するためか、 厚生労働省が参考としている5つの研究を総合すると、 全ての試験において、月経周期(周期が長くなる場合が多い)の変化が見られます。

大豆イソフラボンと乳がん

厚生労働省の発表によると、 大豆食品(大豆イソフラボン)の摂取量に応じて、 4つのグループに分けた場合、少ない群から多い群に向かって、 乳がんリスクが減少することが示されています。
(言い換えると、摂取量が多いほど、乳がんの発症が少ないと発表しています。)

厚生労働省が行った40~59 歳の女性を対象にした10年間の前向き追跡調査によると、 味噌汁や大豆イソフラボンの摂取量と、乳がんリスクの低減とに関係があると報告されています。
ゲニステイン7㎎程度の摂取群と比べ、13㎎程度以上の摂取群において、 乳がんのリスクが低減した、と記載されています。

結果として大豆イソフラボンが乳がんのリスクを減少させるものの、 「乳がんを防ぐ目的」での利用には未だ懐疑的です。

米国がん学会(American Cancer Society)によると、 大豆食品及び大豆イソフラボンはエストロゲン様作用、抗エストロゲン作用の双方を持ち合わせており、 現時点では有益性及び有害性について結論が出ていないことから、 乳がん治療後の生存患者が、大豆を濃縮した錠剤や粉、 及び大豆イソフラボンを抽出あるいは濃縮したサプリメントを摂取しないように、と警告しています。

大豆イソフラボンと子宮内膜

イタリアにおいて、閉経後女性を対象に大豆イソフラボン錠剤を150mg/日、 5年間摂取し続けた試験において、 子宮内膜増殖症の発症が有意に高かった、と報告されています。

妊婦、胎児、乳幼児の副作用

大豆イソフラボンの副作用 妊婦、胎児、乳幼児の副作用
満1歳未満の乳児において、 急性骨髄性白血病の65%、急性リンパ性白血病の85%に、 MLL遺伝子の異常(大豆イソフラボンの過剰摂取がトポイソメラーゼIIの阻害を引き起こすことによって起こる) が関与しているとされていることから、 妊娠中の大豆イソフラボンの過剰摂取(厚生労働省では、サプリメントなどによる上乗せ摂取と表現しています。)は避けた方が懸命です。

また、乳幼児の未発達の腸内細菌叢が、 大豆イソフラボン配糖体、 及び、グルクロン酸抱合体を加水分解できないため、 アメリカでは乳幼児0.08mg/kg(体重10kgの乳児で0.8mg/日)とするよう、制限されています。

日本では、この大豆イソフラボンの影響が出る乳幼児の定義を「15歳未満」としています。


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