ほてり・ホットフラッシュの原因と治療法とは
ほてりは別名「ホットフラッシュ」とも呼ばれ、 更年期障害の症状の中でも発生率が最も高い症状の1つになっています。ほてりの症状が出始めると、 「本当にほてりなのか」、「いつ治まるのか」、「ほてりの治療法や対策は」など、 様々なことが気になり始めます。
ここでは、更年期障害の症状のひとつであるほてりについて、 症状、原因、ほてりと間違いやすい病気、合併症、ほてり対策など紹介しています。
更年期障害の他の症状や治療法については、 更年期障害の症状と特徴をご参照下さい。
ほてりの症状
更年期障害のほてりの症状は、顔や上半身を中心とした「のぼせ」、「紅潮」、「異常な発汗」などが特徴です。ほてりの症状・特徴
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ほてりの具体的な症状
ほてりに限らず、更年期障害の症状の特徴は「個人に大きく依存」します。(更年期障害の症状の特徴については、更年期障害の症状と特徴をご参照下さい。)
そのため、ご自身の症状を表すのに、どのような表現が最も適当か分からないものの、 ほてりを実際に体験した人は、以下の様な症状を訴えます。
症状の特徴は「強烈」、「異常」、「急に」、「汗」です。
ほてりの具体的症状
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どの部分にほてりを感じる?
ほてりを感じる部位は、 「顔」や「頭」が最も多く、 その他、「胸」や「全身(心臓付近を含む)」、「首の後ろ」など、 ほてりを感じる部位は様々です。特に顔のほてりは、同じほてりであっても、他の部位と比較して熱感が高くなっています。
しかし、手足だけにほてりの症状が出る場合、 更年期障害よりも他の病気の可能性が高くなっています。
ほてりはどれくらい続くの?
ほてりは通常1回あたり、30秒~10分程度続きます。ある統計によると、平均継続時間は4分とされ、これは上記の継続時間とも概ね一致しそうです。
症状のひどい人の場合、一度ほてりが発生すると、30分近く続く場合もあります。
どれくらいの頻度で起こるの?
ほてりの発生頻度は個人に大きく依存します。これは、1週間に2~3回の軽い症状の人がいる一方、 数時間・数分ごとにほてりを感じる重症の人もいます。
ほてりはいつまで続くの?
ほてりの開始、終了を予測する方法はありません。しかし、多くの研究によると、 ほてりは閉経前~閉経中には、頻度と重症度が増加するものの、 閉経後になると、時間が経つにつれて、発生頻度、重症度とも低下する、という傾向があり、 発生後5年以内に治まる確率が高くなっています。
一方、他の更年期障害同様、一部の人は閉経後、10年以上ほてりに悩まされる人や、 70歳になってほてりが再発した人も存在します。
ほてりを発症する割合はどれくらい?
ほてりになる割合は更年期女性の概ね40~75%程度のようです。これは調査機関や調査対照群によって報告結果が異なるものの、概ね40~75%に収まります。
特徴的な内容は、 早期閉経した女性はほてりになる確率が高く、 人種では、黒人>白人>アジア人 の順でほてりになる確率が高いようです。
アジア人のほてりが少ない理由として、 豆腐や豆乳など、植物エストロゲン摂取量の影響では、とする説も存在します。
植物性エストロゲンについては、更年期障害とイソフラボンなどの効果をご参照下さい。
ほてりに似た病気
更年期障害のほてりに似た病気が幾つか存在します。これは、生理前のほてりや、妊娠初期のほてりなど、原因が更年期障害のほてりと類似する場合を除き、 以下の病気の可能性があります。
「ほてりではないかも」と感じる場合や、他の症状も出ている場合、 総合病院やかかりつけ医に早めにご相談されることをおすすめ致します。
ほてりと同様の症状が出る病気
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ほてりの原因
ほてりの原因は残念ながら、未だ正確に解明されていません。しかし、いくつかの仮説が存在します。
エストロゲンの減少
ほてりの原因は エストロゲンの減少と、エストロゲンの減少による視床下部の誤認識によるものとする説があります。これは、エストロゲンの低下により、 体温を調節する視床下部が敏感に体温の変化を感じ、 血流を増加させ、 体温を上げ(ほてりを発生させ)、 その結果を汗によって冷却するメカニズムによるものと考えられています。
卵胞刺激ホルモンの分泌増加
女性ホルモンの分泌量が減少すると、分泌量を正常に戻すため、 卵胞刺激ホルモンの分泌量を多くします。しかし、更年期には卵巣機能が低下しているため、 卵胞刺激ホルモンの分泌にも関わらず、 女性ホルモンの分泌量をなかなか増やすことができません。
そのため、卵胞刺激ホルモンはさらに分泌量を増やします。
その結果、更年期には、更年期前と比較して、 分泌量がおよそ10倍~100倍になってしまいます。
(このホルモン分泌量を更年期かどうかの判断に利用する場合もあります。)
この卵胞刺激ホルモンの分泌過多が、 ほてりをはじめ、いくつかの更年期障害の症状の原因では、とする説があります。
その他
エストロゲンの減少が、血中カルシウム濃度の上昇とカルシトニン遺伝子関連ペプチドの過剰分泌により、 ほてりやのぼせに影響するとも考えられています。ほてりによる合併症
夜間のほてりや寝汗は睡眠中の中途覚醒(途中で目が覚めること)や入眠困難(寝付けないこと)、熟睡感の減少などを引き起こします。 睡眠は疲労の最大の回復剤であるため、睡眠不足により、日中の身体疲労や脳疲労、精神疲労を引き起こします。ほてりの治療、対策
ほてりの治療、対策は、ご自宅でできる対策から、病院での治療まで様々な方法が存在します。避けるべきこと
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喫煙はほてりの発症確率を上げるだけでなく、人によっては副流煙がほてりのトリガーとなる場合があります。
また、肥満の方は体温が高いことから、それだけほてりを発症しやすく、 辛い食べ物やスパイシー料理、アルコールなどの摂取がほてりを引き起こす場合もあります。
これらほてりのトリガーとなる行為を記憶しておくと、 それら行為を避けることで、ほてりの発端をなくすことができます。
症状緩和・予防
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特に頭や顔がほてっている場合、扇風機やクーラーの冷風を直接当てることも一つの方法です。
また、リラックスしたり、ストレスを軽減する運動は、 ほてり対策として有益とされています。
ホルモン補充療法
ホルモン補充療法は、更年期障害の原因となるエストロゲンやプロゲステロンを補充するため、 ほてりだけでなく、多くの更年期障害の治療に有益とされています。ホルモン補充療法薬のうち、「ディビゲル」や「ル・エストロジェル」などは、 特に、ほてりや発汗を専門とする治療薬です。
ほてりに関しては、非常に厳しい症状の女性には良い選択であるものの、 ホルモン補充療法によるほてりの軽減は、ホルモン補充療法をやめると再発してしてしまいます。
ホルモン補充療法については、副作用や容量の問題、補充するホルモンの内容、 補充方法など様々な違いがあるため、別途更年期のホルモン補充療法の効果と種類で紹介しています。
サプリメント・栄養
植物性エストロゲンやブラックコホシュ、亜麻仁など、 弱いエストロゲン作用のある食事や栄養素はほてりを鎮める作用があります。ほてりなど、更年期障害に効果のあるサプリメントについては、 更年期障害に効果のあるサプリメントをご参照下さい。
薬
いつくかの薬は、 ほてりの症状を緩和する効果があります。具体的には、 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の フルオキセチン、セルトラリン、パロキセチン、 抗てんかん薬のガバペンチン、 高血圧薬のクロニジンなどです。
しかし、これらの薬は、本来の目的が異なることや、 副作用、相性があるため、 医師から十分な説明を得て、よく相談して選択すべきです。
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