萎縮性膣炎は更年期が原因

萎縮性膣炎は更年期が原因とは

萎縮性膣炎は更年期が原因
閉経後多くの人がなる病気が、萎縮性膣炎です。
発症が早い人の場合、更年期にも、萎縮性膣炎の症状が現れます。

米国家庭医学会(AAFP)によると、 閉経後の女性の40%以上が萎縮性膣炎にかかっています。

萎縮性膣炎は、膣の炎症だけでなく、 かゆみや悪臭、性交時の痛み、尿漏れなどの症状を引き起こします。

萎縮性膣炎は慢性病のため、治療しないと治らないものの、 ほとんどの人がその存在すら知りません。

ここでは、更年期障害の1つである萎縮性膣炎について、症状、原因、治療法について、 紹介しています。
更年期障害の他の症状については、 更年期障害の症状と特徴をご参照下さい。

萎縮性膣炎の症状

萎縮性膣炎の症状
■膣の症状
  • 乾燥
  • 炎症
  • かゆみ
  • 悪臭
  • おりもの
  • 性交による痛み、出血
■尿・その他の症状
  • 尿意切迫
  • 血尿
  • 尿漏れ
  • 頻尿
  • 感染症の増加

萎縮性膣炎はほとんど知られていない

萎縮性膣炎の存在を多くの女性は知りません。

イタリアの大学が行った4,246人を対象とした国際的な調査によると、 39%の人が膣萎縮症状があり、 全体の45%が膣萎縮を含めて、何らかの症状があると回答したものの、 それが膣萎縮(萎縮性膣炎)によるものであると回答できた人は、女性のわずか4%でした。

萎縮性膣炎の症状の特徴

閉経前の膣は、多くのひだを有し、 体液や粘液でしっとりと保持され、 膣内のPHは3.8~4.5と様々な菌の発生を抑制しています。

しかし、更年期や閉経によりエストロゲンが減少すると、 膣の潤滑が低減し、乾燥し、薄くなり、膣内部のPHを上昇させます。

乾燥した膣は、かゆみや炎症を引き起こし、 また、乾燥によって上昇したPHは、細菌や酵母、他の微生物を増やすため、 悪臭や感染症の増加につながります。

また、皮膚が薄くなった結果、 尿漏れや尿意の増加へとつながります。

萎縮性膣炎の原因

エストロゲンの減少

萎縮性膣炎の原因は他の更年期障害の原因と同じくエストロゲンの減少です。
エストロゲンは膣内において、潤滑を促す作用、膣壁を厚くする作用があります。 その他、萎縮性膣炎に影響する原因は以下の通りです。

出産経験

出産経験がない女性ほど、萎縮性膣炎になりやすい、という統計があります。

タバコ

タバコは一酸化窒素の吸引により、酸素供給量を減少させ、血液循環を悪くします。 血液循環が悪いと、膣の潤滑が悪くなるため、萎縮性膣炎を増加させます。

更年期以外の他の原因

萎縮性膣炎の原因はエストロゲンの減少のため、更年期以外にもエストロゲンを減少させるいくつかの原因があります。
  • 授乳中
  • 卵巣除去(外科的閉経)
  • 癌治療
  • 骨盤の放射線療法
  • 乳がんのホルモン療法
  • 薬の副作用(タモキシフェン、ダナゾールなど)

その他、エストロゲンを減らす原因については、 若年性更年期障害の原因と治療や、 エストロゲンを減らす食べ物をご参照下さい。

萎縮性膣炎の解消方法

萎縮性膣炎の解消方法
  • 潤滑剤の使用
  • 膣内エストロゲンの利用
  • ホルモン補充療法
  • 蒸れる着衣を避ける
  • 植物性エストロゲン
  • ビタミンD
  • 性行為
  • その他

潤滑剤の使用

水ベースの潤滑剤あるいは保湿剤を利用します。
これは、膣の乾燥に伴う様々な症状、性行為時の痛みなどを解消してくれます。 婦人科でも「ウェットトラストプロ」や「ペッサリー」などの潤滑剤を勧めれるほどです。

また、保湿剤は、性行為には不向きなものの、 2~3日ごとの利用で多くの症状を改善してくれます。

ただし、いくつかの潤滑剤には、ワセリンが含まれている場合があり、 コンドームが破れやすい、あるいは、 肌が弱い場合、グリセリンを含む製品は、炎症を起こす可能性があるため、注意が必要です。

膣内エストロゲンの利用

萎縮性膣炎の原因はエストロゲンの減少のため、 エストロゲンを直接膣内に利用する膣内エストロゲン療法が効果があります。

部分適用ではあるものの、 膣内エストロゲン療法は、萎縮性膣炎において、 全身のホルモン補充療法と同様の効果があることが分かっています。

さらに、経皮摂取かつ、直接投与により低容量ですむことも特徴です。
ただし、セックス中の潤滑剤を目的とした利用はできません。

ホルモン補充療法

症状が重い場合や萎縮性膣炎以外の症状が出ている場合、 他のホルモン補充療法でも膣の弾力性と自然な水分を向上させることができます。
ホルモン補充療法については、更年期のホルモン補充療法の効果と種類 をご参照下さい。

蒸れる着衣を避ける

蒸れる着衣は菌の繁殖を増加させます。
ポリエステルやナイロンなどの化学繊維は避け、綿やシルクのような天然繊維の着衣が萎縮性膣炎には向いています。

植物性エストロゲン

アメリカ国民健康栄養調査(NHANES)において、 尿失禁(切迫性、腹圧性)、夜間頻尿などに悩む7,913人の女性に対して、 2つの植物性エストロゲン(イソフラボン、および、リグナン)と尿路症状の関係を調査したところ、 リグナンが大腸で分解されたエンテロラクトンやエンテロの濃度が高いほど、 これら尿失禁や頻尿が少ないことが分かりました。

また、サンパウロ大学医学部で行われた研究によると、90人の女性がイソフラボン4%を含む膣ジェル1g/日と、 プラセボジェル(偽薬)と、馬のエストロゲンクリーム(0.3mgの/日)を12週間処置したところ、 イソフラボンジェルは、膣の乾燥と性行為による痛みの軽減に有効であることが示され、 これは、馬のエストロゲンクリームと同様の効果でした。

尿路症状や更年期障害に対する 植物性エストロゲンの効果については、更年期障害とイソフラボンなどの効果をご参照下さい。

ビタミンD

ビタミンDは、膣内の水分を増加させます。

性行為

定期的な性行為は、膣萎縮を防ぐ助けをします。 これは、膣への血流増加が、膣の組織の維持に役立つためです。

その他

その他、萎縮性膣炎を防ぐ、あるいは、エストロゲンを増やす方法については、 エストロゲンを増やす方法をご参照下さい。


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